2017年2月22日水曜日

蜘蛛の糸

まずは本家本元、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」より。(Wikipediaより引用)


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釈迦はある日の朝、極楽を散歩中に蓮池を通して下の地獄を覗き見た。罪人どもが苦しんでいる中にカンダタ(犍陀多)という男を見つけた。カンダタは殺人や放火もした泥棒であったが、過去に一度だけ善行を成したことがあった。それは林で小さな蜘蛛を踏み殺しかけて止め、命を助けたことだ。それを思い出した釈迦は、彼を地獄から救い出してやろうと、一本の蜘蛛の糸をカンダタめがけて下ろした。


暗い地獄で天から垂れて来た蜘蛛の糸を見たカンダタは「この糸を登れば地獄から出られる」と考え、糸につかまって昇り始めた。ところが途中で疲れてふと下を見下ろすと、数多の罪人達が自分の下から続いてくる。このままでは重みで糸が切れてしまうと思ったカンダタは、下に向かって「この糸は俺のものだ。下りろ。」と喚いた。すると蜘蛛の糸がカンダタの真上の部分で切れ、カンダタは再び地獄の底に堕ちてしまった。


無慈悲に自分だけ助かろうとし、結局元の地獄へ堕ちてしまったカンダタを浅ましく思ったのか、それを見ていた釈迦は悲しそうな顔をして蓮池から立ち去った。
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続いて小松左京の「蜘蛛の糸」より。(Wikipediaより引用)


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地獄に堕ちたカンダタは蜘蛛の糸を降ろされ、それを伝って登る途中でふと下を見ると、他の亡者も上がってくるのを見た。しかし、彼は彼らを追い落とすより、慌てて伝い上がることを優先し、しっかり極楽へと登ることに成功してしまう。ところがこれに驚いたのが釈迦である。釈迦は他の亡者の登上を阻止しようとして失敗し、代わりに自分が地獄へ堕ち、亡者たちは極楽へ上るのであった。


しばらくたった後、カンダタが地獄を覗くと、釈迦が血の池で苦しんでいた。彼は以前のことを思い出し、一本の蜘蛛の糸を釈迦の前へ下した。釈迦はそれに気付いて登り始めるが、ふと下を見ると、何と地獄の鬼や閻魔まで昇ってくるではないか。「お前たち、それは駄目だ!」と釈迦が言うと、蜘蛛の糸は釈迦の真上の部分で切れ、釈迦は再び地獄の底へと堕ちていくのであった。
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本家よりパロディ版の「蜘蛛の糸」の方が好きだ(笑)
釈迦も閻魔も人間臭くて妙にリアル。神様なんてこのぐらい親近感があっていいと思う。


ちなみに「蜘蛛の糸」の原作は、スウェーデンの女流作家セルマ・ラーゲルレーヴが、1905年に書いた『キリスト伝説集』の「わが主とペトロ聖者」から来ているらしい。そのあらすじは、「わが主(イエス)が、地獄に向けて放った天使に掴まって上がってこようとしたペトロ聖者の母親が、一緒に掴まって上がってこようとした人々を振り落としたため、天使は母親を放してしまい、結局また地獄へと落ちてしまう」だそうな。確かにそっくり。


ところで、ペテロの母親は何故に地獄へ堕ちたことになってんの?なにやらかしたん??(;´・ω・)